腰を反らすと痛みが出てしまう場合、何が原因になっているのかご存知でしょうか?
実は反れない腰痛は、他の症状とは違い、特有の問題を抱えていたりします。
原因をしっかり把握しなければ、症状の改善も望めませんので、今回は反ると痛い時の腰痛原因についてまとめてみました。
腰痛で反ると痛い場合はこの2パターン
腰痛で反ると痛いときには、主にこの2パターンが考えられます。
1.関節自体に問題があるパターン
腰には椎間関節という関節があるのですが、ここに問題が起きてしまうと、腰痛を引き起こす可能性があります。
体を反らす時は、椎間関節が閉じるような動きをするのですが、関節が歪んだり、周りの組織が固くなってしまうと、この動きがスムーズに行えなくなります。
そうなってしまうと、体は動かないのに無理に関節を動かそうとしてしまうため、組織が刺激され、痛みを引き起こしてしまうのです。
この関節の動きづらさは、関節自体に問題がある場合もありますが、骨盤や股関節の影響を受けている場合もあります。
2.他部位の影響で腰に負担がかかったパターン
反ると痛い時の腰痛は、他の部位からの影響で痛みが出ている場合もあります。その代表的な例が、骨盤や前面筋膜の問題です。
腰を反らす場合には、腰椎が動くと同時に、骨盤が後傾したり、前側の筋肉が充分に伸びてくれる必要があります。
もしこれらに何らかの問題が起きてしまうと、反る動作がやりづらくなってしまったり、前側から腰が引っ張られる形になるため、腰椎に負担がかかってしまうのです。
腰椎自体に問題がなければ、ただ動かしづらいレベルで終わることもありますが、歪みがあったりすると、症状が強く出てしまいます。
反ると痛い腰痛の原因とは?
上記で2つのパターンを解説しましたが、ここからは、細かい原因について見ていきたいと思います。
腰椎の固着
腰の椎間関節には、靭帯や関節包という組織があるのですが、何らかの要因で腰に負担がかかってしまうと、これらの組織が緊張し始めます。
組織が緊張してしまうと、腰椎も固くなってくるのですが、この時に関節が開いている状態で固まると、反る動作で痛みを引き起こすのです。
具体的にどういう事なのかというと、腰を前後へ動かすときには、関節が開いたり閉じたりします。
開いた時に固まってしまうと、反対に閉じるという動作ができなくなってしまうため、後ろ側に「反る」という動作で、痛みを引き起こすのです。
なかなかわかりづらい部分かもしれませんが、このように関節が固まってしまっている方は、実は意外と多いのです。
普段から腰を丸めていたり、足を組んでいたりすると、腰椎は前側に曲がりますので、そのまま固くなってしまえば、閉じない関節の完成です。
現代人は長時間同じ姿勢で座っている事が多いので、必然的に腰に負担は集中しています。
負担が集中すれば、体が耐えきれなくなるのも時間の問題ですので、無理が重なって腰痛になってしまうのです。
骨盤が過度に前傾している
骨盤の前傾も、反ると痛い腰痛の原因になります。
これは先程も少し解説しましたが、腰をうまく反らすためには、ある程度骨盤が後傾する必要があります。
何らかの要因でこの後傾ができなくなってしまうと、腰椎だけで体を反らす事になってしまうため、余計に負担がかかってしまうのです。
骨盤が前傾してしまう要因としては、やはり筋肉の緊張が挙げられます。
前側にある大腰筋、腸骨筋、大腿直筋、縫工筋などが固くなってしまうと、骨盤を前から引っ張ってしまいますので、前傾した状態で固まってしまいます。
前側の筋肉はあまり意識されないかもしれませんが、実は腰痛原因になっている事もありますので、しっかりと緩めて、骨盤のバランスを整える必要があるのです。
※女性の場合は反り腰の方が多いので要注意です。
骨盤や股関節前面の筋肉が固くなっている
こちらは先程も少し解説した通り骨盤の後傾を妨げるのですが、それ以外にも、腰椎にも直接影響を与えます。
骨盤や股関節の前面には、大腰筋という筋肉があるのですが、この大腰筋は、胸椎(第12胸椎)や腰椎に付いています。
胸椎や腰椎に付くということは、当然筋肉が固くなれば背骨を前側に引っ張ってしまいますので、過度に緊張が続けば、腰が前湾するような形になるのです。
過度に腰が前湾した状態では、普通の状態よりも負担がかかってしまいますので、やはり腰痛につながります。
股関節が固くなっている
股関節と腰との関係性はわかりづらいかもしれませんが、ここが固くなってしまうと、骨盤の歪みにつながります。
骨盤が歪んでしまうと、当然その上に乗っている腰椎も歪んでしまいますので、歪み方によっては、反る時に痛みを引き起こすのです。
事実、ひどい腰痛を抱えている方は、だいたい股関節にも強い問題を抱えています。
関節が固く、前後のバランスも崩れていれば、いくら腰を整えたとしても、いずれまた悪くなってしまいますので、忘れずにチェックしておきたいポイントです。
反ると痛い腰痛で注意すべき疾患とは?
ここまでで、反ると痛い腰痛の原因について解説してきました。大半の腰痛は、このように関節や筋肉などの問題から引き起こされます。
ですが、残り1、2割の中に、注意すべき疾患があるので紹介しておこうと思います。
内臓疾患による痛み
腰の痛みとともに、発熱や腹痛など、通常の腰痛とは違う症状がある場合は、内科系疾患の可能性があります。
内蔵系疾患の場合は、腰を施術しても症状の改善は望めませんので、直ちに病院へ行ってください。
特に膵炎は、反ったり仰向けに寝たりすると、膵臓が背骨で圧迫されて、腰や背中に痛みを出すことがあります。
基本的には上腹部の痛みや吐き気、嘔吐、発熱などの症状があるので、腰痛と間違える事はないとは思いますが、どのように症状が出るかは人それぞれですので、知識の一つとして知っておいたほうが良いです。
脊柱管狭窄症による痛み
高齢の方の場合、脊柱管狭窄症と呼ばれる背骨の問題から、腰痛を引き起こしている場合があります。
脊柱管狭窄症はどんな病気ですか?
背骨の中を通る脊髄からの神経の通り道を脊柱管といいます。脊柱管狭窄とは、この脊柱管を構成する骨や靱帯の肥厚、椎間板の突出などで脊柱管が圧迫を受け狭くなる病気のことを言います。
脊柱管狭窄症になってしまうと、背骨や椎間板が神経を圧迫しますので、背すじを伸ばすだけでも、しびれや痛みを引き起こします。
さらに腰を反らすような動きをすると、脊柱管と呼ばれる神経の通り道が狭くなってしまいますので、余計に症状が強くなってしまうのです。
間欠性跛行という特徴的な症状があったり、MRIで調べれば腰の状態もわかりますので、もし高齢で腰痛、しびれ、長い距離を歩けない等の症状があったら、脊柱管狭窄症を疑う必要があるかもしれません。
まとめ
腰痛で反ると痛い時は、関節や骨盤、筋膜の問題が影響している可能性があります。
一部注意すべき疾患もありますが、多くの腰痛は、適切に対処していけば症状の改善が望めるはずです。
当院では、さまざまな角度から反れない腰痛にアプローチしていきますので、症状でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。