あなたは何をやっても腰が良くならないので、「もう自分の腰痛は治らないのかも」と思ってはいないでしょうか?
長いこと腰の痛みが変わらないと、悩んで気持ちまで落ち込んでしまうものですが、実は腰痛が治らない方の多くは、みなさん同じような問題を抱えているのです。
10年以上腰痛患者さんを見てきたからこそわかったポイントがいくつもありますので、今回は「腰痛が治らない原因」についてまとめてみました。
特に今回は患者さんがおろそかにしがちな心理面や生活面と言った問題にも焦点を当てていますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.腰痛が治らない施術面の原因
どんな病気やけがでもそうですが、万能な方法というものはなく、10人いれば10通りの腰痛があるように、施術法も、人それぞれ違った方法が必要です。
腰痛が治らない方の多くは、自分の体の問題と、手技が合っていない事が多いのですが、自分でも問題点がわかっていないので、適切な改善策を取れないという現状があります。
合わない方法を試していても、改善のためのモチベーションを下げていくだけですので、この章では施術面で問題を起こしているポイントを解説していきます。
腰の痛みについて分析出来ているか
ここで言う分析とは、単に「腰が痛いから腰周りに問題がある」というレベルの話ではありません。
体のどこが痛むのか、それはどの組織(筋肉、神経、靭帯等)の問題か、その問題箇所はどうなっているのか、そしてそれはなぜ起きているのかという事を、しっかり把握するということです。
これがわかって(仮説が立って)、初めて効果的なアプローチができます。
もしこうした分析が行われていないなら、患者さんが治るか治らないかは、運任せの状態になってしまいます。
軽度のギックリ腰や、少し筋肉に問題があるだけならここまで考えなくても良いですが、治らない複雑化した慢性腰痛の方には大切な事です。
- 腰・骨盤周りの筋肉や筋膜
- 腰椎にある関節包や靭帯(関節包靭帯や腸腰靭帯等)
- 腰周りの神経
※ただし、人間の体は複雑なメカニズムで影響し合っているため、実際には理論通りに行かない例外も数多く、他の部位にアプローチしてからではないと、患部の状態がわからない場合もあります。
そのため、重要な事は、理論に基づいてどのような問題が起きているのか目星を付け、それに対してアプローチをする。
そしてうまく行かなかったら軌道を修正して、違う選択肢を取るという事だと思います。
腰痛について分析した結果、筋骨格系の問題ではないと判断された場合、内臓の病気やその他の疾患を疑わなければいけません。
問題組織に適した施術法を選んでいるか
問題となる箇所に目星がついたら、今度はその組織に対して、どのような施術法を選択するか、考えなければなりません。
一般的には、腰が痛いとなったら、揉んだりするマッサージ系の手技が多いのかもしれませんが、マッサージで主にアプローチできるのは「筋肉」です。
腰痛には、その他にも関節(多くは関節の問題)や神経の問題が複雑に絡み合っていますので、筋肉には筋肉に対する手技を、関節には関節に対しての手技を、神経には神経に対しての手技を、それぞれ選択する必要があります。
この辺は、試しに自分の食事に置き換えて考えてみると、イメージがつかめるかもしれません。
パンを食べる時も箸。ステーキを食べる時も箸。ヨーグルトを食べる時も箸。
頑張れば何とか食べれそうですが、パンだったら手で食べた方が食べやすいですし、ステーキならナイフやフォークを、ヨーグルトをならスプーンを使って食べた方が、遥かに食べやすく効率的だと思います。
体のどの組織に問題があるかによっても、必要とされる施術法は異なりますので、当院ではオステオパシーや鍼灸、整体の考え方を参考に、その人の体に合った方法で施術を行っています。
また、患者さんとしては、ストレッチや湿布などで対応している方も多いと思いますので、合わせて解説してみようと思います。
ストレッチ
ストレッチは継続して行うことができれば、一定の腰痛緩和が期待できます。
手軽にできるので取り入れている方も多いかもしれませんが、現代人の腰痛は基本的に筋肉よりも関節に問題が起きていますので、ストレッチだけで対応するのは難しいように思います。
また、ストレッチ続けないと効果が現れません。
数回やっただけだと、その場は緩んでもすぐに元に戻りますので、継続してできるかというのもポイントになると思います。
湿布
腰痛で病院へ行くと、よく湿布を渡されると思いますが、残念ながら現代人の腰痛には、湿布の効果は薄いです。
「心地良いから」とか「気休め」という意味で貼ってる方もいるかもしれませんが、座り過ぎやじっとしていて痛くなったものには効果があまりないと思いますので、他の療法をメインに考えたほうが良いと思います。
ただし、体を動かして痛めた時に、筋肉や靭帯などを損傷しているなら、炎症を抑えるという意味でも、効果があるかもしれません。
症状の変化だけでなく、大本の原因が改善しているか
痛みの発生源となっている組織を施術すると、ある程度症状が変化していきます。
症状の軽い方はすぐに動きが改善されたり、痛みが消えてしまう場合があるですが、腰痛が治らなくて困っている方は、ここで安心しては行けません。
通常、患者さん側の心理として、痛みが落ち着いたり、動きが良くなったら「もう大丈夫」と思ってしまうかもしれないですが、その組織に問題を起こした原因部分が改善されていないと、再び組織に悪影響及ぼし、症状を引き起こす場合があるのです。
- 腰椎の固着(特に腰椎5番)
- 股関節の固着
- 下肢筋膜の緊張
- 内臓周りの緊張 など
この時に、一度良くなったと思ってから再び症状が現れるので、「やっぱり良くならないんだ」と落ち込んでしまう方もいますが、これは良くならないわけではなく、単に原因部が改善するまでアプローチが行われていないだけです。
もし、あなたの症状が一度良くなって、またすぐに痛くなってしまうなら、原因部分の改善には、まだ時間が必要なんだな。と思っていただければと思います。
例)
座骨神経痛の痛みは無くなったが、神経の大本である腰はまだ歪んでいたので、再び神経を圧迫し、神経痛が出た。
局所の改善だけでなく全体のバランスが取れているか
局所の状態が改善されれば、症状も落ち着いてくるため、一旦施術は終了となります。
ですが、腰痛を繰り返している方の場合は、それだけでは不十分な可能性がありますので、「体のバランスを取る」というもう一つのステップが必要になるのです。
体のバランスが取れている状態とは、体全体に柔軟性があり、負担を全身でさばけるような状態をいいます。
腰痛がなかなか治らなかった方は、長い間悪い状態を続けてきたために、体のバランスが著しく悪く、構造的に弱い箇所に負担がかかり状況があると言えます。
これは家で例えるとわかりやすいかもしれません。
ヒビが入った家をいくら修復しようとも、土台が傾いていれば、いずれまた家にヒビが入ります。
家にヒビが入らないようにするためには、ヒビを修復することも大切ですが、同時に土台の傾きも、しっかりと整えなくてはいけないのです。
改善した時のゴールが設定されているか
これは意外と盲点なのですが、患者さんとお話ししていると、改善した時のゴールが設定されていないので、どうなったら治ったと言えるのか、よくわかっていない方がたまにいます。
だいたいみなさん「痛くなければいい」と答えるのですが、どのような状況で痛くなければいいのかわからないと、痛みがあるかないか確認しようがありませんので、うまく物事が進みません。
また、これを設定せずにダラダラゴールのないまま施術を続けていると、今ある腰痛が改善しても、次に負担がかかって痛みが出た場合に、以前の問題と区別がつかなくなってしまいますので、ずっと腰痛を抱えているような、誤った認識を持ってしまいます。
そのため、問題をうまく改善させるために、自分はどうなったら良くなったといえるのか、考えてみてください。
かがんだ時に痛くなければいいのか、ゴルフのスイングで痛みが出ない状態なのか、人によって違いますので、ご自分で改善までのゴールを設定してみてください。
停滞期を乗り越えているか
ダイエットでも停滞期がありますが、腰痛の改善時にも、停滞期が訪れる場合があります。
初めの方は、もともとの状態が悪かったために、体も変化しやすく、症状も大きく変わります。
ですが、施術を続けていくと、次第に問題箇所が減ってくるので、変化する量が減り、患者さんの心理として、「変わらなくなってきた」という感覚を覚えるのです。
体を見ていると、実際は構造的な変化が起きているのですが、認識として変化を感じられないために、患者さんとしてはつらい時期が訪れます。
この時、痛む場所がぐるぐる動くような場合は、体がしっかり変化している証拠でもありますので、心配しなくても大丈夫です。
病気や内臓の問題を視野に入れているか
ここまでは、主に筋肉や関節、神経と言った部分に焦点を当ててきましたが、腰痛はその他にも、病気や内臓の問題によっても引き起こされます。
これらの腰痛は、普通の腰痛とは違うので、問診や施術で異変を感じますし、患者さん自身も腰痛以外の症状を感じているので、基本的には気づく事が多いです。
ですが、中には自覚症状が全くなかったり、筋骨格の問題と病気が同時に起こっている場合もありますので、注意しなければなりません。
実際私が見た中でも、盲腸や胃炎、帯状疱疹などになっていたのに、腰痛を訴えて来院する方がいらっしゃいました。
本人達に自覚症状はありませんでしたが、明らかに通常の腰痛とは違ったため、病院へ行ってもらった結果、このような問題がわかりました。
人間若くて健康なうちは良いですが、30代40代になってくると、内臓周りにも負担がかかってくるので、なるべく広い視点で腰痛を捉えた方が良いと思います。
腰痛を引き起こす内臓問題としては、上記以外にも膀胱炎や、腎臓、胆のう、肝臓、子宮、膵臓周りなど、さまざまな臓器から痛みを引き起こします。
内臓と腰痛の関係については、合わせて「内臓疾患から来る腰痛の特徴とは?」をご覧ください。
2.腰痛と心理面の関係
心理面の関係と言われてもよくわからないと思いますが、腰痛には、患者さんの心理面や考え方も大きく影響を及ぼします。
普段正しいと思っている行動が実はマイナスになっていたり、腰痛の改善を妨げている事も多々ありますので、腰痛が治らないなら、ぜひ知っておいて欲しいポイントです。
※ただし、心理面はデリケートな部分ですので、アプローチが難しく、患者さん自身も、心理面の話をされても「なかなか受け入れられない」という現状があります。
施術者側も、アドバイスはできても実際変わるかどうかは本人次第ですので、その分、変化が起きれば大きいポイントでもあります。
強く押せば押すほど効果があると思っていないか
患者さんの中には、強い刺激を加えれば加えるほど、体が良くなると思っている方がたまにいます。
確かに体はある程度の刺激を加えると、反射により局所の血流が改善されたり、神経系に作用することで、一定の効果を引き起こすのですが、同時に強い力は、副作用として組織にダメージを与えてしまったり、筋肉や皮膚を固くする恐れがあるのです。
これは考えてみれば当たり前な事なのですが、人間の体には、筋肉や骨以外にも、神経や動脈と言った、重要な組織が数多く存在しています。
体としては、どうにかしてこれらの組織を守る必要がありますので、必死に筋肉を固くし、抵抗する必要があるのです。
本来体を緩めるために行うものが、むしろ固くしてしまうなら意味がありませんし、そもそも問題が筋肉になければ、いくら強く押しても効果はありません。
また、患者さんを見ていると、強い刺激を必要以上に好む方は、「体を治す刺激」を通り越して、「体を壊す刺激」を求めています。
痛い所を押されることで施術されている感じがしたり、痛みの刺激が心地よいのはわかるのですが、初めはそこまで強くない刺激でも、繰り返すうちに、自然と刺激に慣れてしまいます。
満足感を得るためにはもっと強い刺激を求めますので、施術者の「これ以上は強くしないほうが良い」という言葉は耳に入らなくなり、強い刺激だけが正しいという誤った世界へ、旅立ってしまいます。
そこで、患者さんに知っておいてほしいことは、決して自分が望む強さが、改善のために必要な強さとは限らないという事です。
体に必要な事は、目的の組織に必要な力を加える事だけですので、「押されて満足行くかどうか」はまた別の話です。
目的よりも手段が重要になっていないか
これは実際に私が接した患者さんの話です。この方は、長年腰痛と背中の痛みに悩まされていました。
さまざまな手技を受け、有名な先生に施術してもらっても改善されないので、いろいろ探しているうちに、当院に来た方でした。
症状自体は4、5回施術を重ねるうちに改善されたのですが、どうも患者さんが納得していない様子です。
「背中と腰の状態はどうですか?」と聞くと、「今は痛くない」という返事が帰ってきます。
施術者側から見ても、固くなっていた部分が改善され、関節もスムーズに動くようになっていたのですが、なぜ彼は納得しなかったのでしょうか。
私がその患者さんに言われたことは、「俺はカイロのバキッ、バキッていうのをして欲しいんだよ」ということでした。
この時、私は初めて症状が消える事よりも、何をしてもらうかの方が重要になっている方がいる事に気づいたのですが、このような方は、目的が症状の改善だけではないため、その分他の方より腰痛が治りづらくなります。
通常は、できる範囲で患者さんの望んでいる事をするのですが、中には体のためにやらない方が良い事もあります。
特に、先ほどの方は「カイロプラクティックの刺激を受ける→症状がよくなる」という流れを通らなければ、本人が治ったと認識できないので、カイロの刺激が合わない場合は、ずっと体は良くならない事になってしまうのです。
もし、あなたが目的よりも手段が重要になってしまっているなら、目的はなんなのかという事をしっかり見直すと良いでしょう。
自分の体に責任をもっているか
自分の体に責任をもつとは、どんな事があっても、自分の体は自分で引き受けるという事を意味します。
患者さんの中には、自分の責任を放棄して、施術者に任せっきりになってしまう方がいるのですが、このような方は「誰かに良くしてもらいたい」とは思っていても「自分でも良くしよう」とは考えません。
そのため、自分で努力している方より変化は遅れますし、施術だけでどうにかしようと考えている分、自分の問題点を改善しようと思えなくなってしまうのです。
もともと、ここまでひどい腰痛にしてしまったのは、生活習慣が悪い事も原因の一つですので、ある程度自分でも改善しない事には、先へは進めない場合があります。
よく、「忙しくてあまり来れないのでどうにかしてください」とおっしゃる方もいますが、いくら患者さんが忙しいからといっても、施術でできる範囲には限界もあります。
忙しくて体がボロボロなら、仕事の調節は患者さんの責任でどうにかしないといけない問題ですし、何回も施術が必要になるなら、自分でケアの時間を確保するか、仕事の量をコントロールして、負担がかからないようにしないといけません。
生活環境に問題がある方は、特にこの辺大切なポイントですので、自分でも何かできることはないか、考えてみてください。
1回で何とかなると思っていないか
1回で何とかなると思っている方は、基本的に「徐々に良くなる」という状況よりも、「一気に良くなる」という状況を頭に描いている方です。
ですが、実際体がどう良くなるかは人それぞれ違いますので、一気に良くなる方もいれば、徐々にしか良くならない方もいるのが現実です。
私の経験から言わせていただくと、1回で良くなるものは、軽度のぎっくり腰か、もともと体の悪くない人が、ちょっと痛めてしまった場合などです。
腰痛が治らなくて困っているような方の場合は、1回でどうこうできるものではありませんので、当然改善にも時間がかかります。
この現実から離れて、「一気によくなるもの」とだけ思ってしまうと、症状が徐々にしか変化しない時や、その瞬間変わらなかった時に落ち込んでしまったり、「治らない」と思い込んで、体のケア自体辞めてしまう可能性があるので、注意が必要です。
そのため、もしあなたがここでハマっているなら、判断基準を「1回でどうにかなるか」というより、症状は変化しているかという部分に変えてみてください。
痛みの質はどうか、痛みの強さはどうか(10段階で評価)、動きやすさはどうか、痛む場所はどうかなど、体の変化を感じることで、その施術が自分に合っているかいないかがわかります。
0か100で物事を判断していないか
これは上記とも少し被るのですが、物事を0か100で判断しやすい方も、腰痛において、引っかかってしまう可能性があります。
ものを0か100で見るという事は、間の1から99を見ないようにしてしまうか、1から99になった時に、0か100のどちらかに、自分の状況を当てはめようとしてしまいます。
腰痛で言えば、0が治っていない状態で、100が治っている状態です。
実際の現場では、間のグレー部分がかなりの割合を占めますので、「さっきよりは良いけどまだ痛い」とか、「さっきよりは動けるけどまだ痛い」という場面に遭遇します。
施術者からすると、改善が見られるので「このアプローチは効果がある」と判断するのですが、白か黒でものを見る方の場合、このグレーの部分はほとんど0(治っていない)という判断になってしまうので、せっかく何回か通えば改善されるものでも、その後が継続しない場合があるのです。
これは上記でも説明しましたが、自分の判断基準を変えないことには、偶然1回でどうにかならない限り、いつまでたっても治らない事になってしまいます。
完全に治ってから動こうとしていないか
患者さんの心理として、「治るまで安静にしておこう」とか、「よくなったら動こう」というように、なるべく腰を安静にしようとするのですが、慢性腰痛の場合は、安静にし過ぎる事が、マイナスに働く可能性があります。
もしあなたが体を動かさないままでいると、動く必要のなくなった腰椎はどんどん固まっていきますし、次第に関節が固着し、動かす時に痛みを引き起こします。
筋肉は動かさないと柔軟性が失われますし、安静時でも体のバランスを取るために働いているので、同じ場所にだけ負担がかかり、腰痛を悪化させる要因になってしまいます。
これらを防ぐためには、寝る、座る、立つ、歩くという動作を、まんべんなく行わないといけません。特に、歩く事が少なくなると、腰痛は悪化しやすいので注意が必要です。
常に腰を気にしていないか
痛みが強い時や、急性期に腰を気にする事は必要なことなのですが、患者さんの中には、症状が軽くなってきても、腰の状態を確認しないと気が済まない状態になっている方がいます。
これは、過去に腰痛でつらい思いをして、強い不安がある場合や、確認を繰り返す事で癖になっている可能性が疑われるのですが、腰の痛みを確認し続けても不安が解消されないので、一向に「良くなった」という安心感や自信が得られません。
常に腰を気にしていると、主に以下に3つの点で、腰痛の改善を妨げます。
痛みを作り出してしまう
常に腰を気にしていると、「どこかに痛みはないか」と自分の体を敏感にチェックしますので、次第に痛みのセンサーが鋭敏になり、わずかな痛みでも感知しようとしてしまいます。
これが続くと、あまりにも微細な感覚にも反応してしまうので、次第に痛いのか痛くないのかよくわからなくなり、常に痛みを感じているような誤った感覚にハマります。
この痛みは、患者さん側からすると実際に痛くてつらいものなのですが、施術者側からすると、解剖生理学的にありえない痛みの出方だったり、構造的に問題がないのに痛みが出ていたりするので、だいたいわかります。
無意識に腰をかばってしまう
常に腰を気にするという事は、無意識に腰をかばっている可能性があります。
急性期の腰痛には、それ以上悪化させないために必要なことですが、慢性化した腰痛には、腰をかばうことが余計に痛みを引き起こす可能性があります。
不安が解消されない
腰を気にするという事は、それだけ常に不安を抱えている証拠でもあります。
もともとは、不安を解消させるために行っていた行動なはずですが、そこで安心できないと、何度も腰を気にするうちに、知らず知らずのうちに、腰を気にしないと気が済まない状態になってしまうのです。
最近の研究で、腰に対する不安や恐怖は、痛みを長引かせてしまう事がわかっていますので、常に腰を気にすることは、結果として症状を長引かせる事にもつながります。
恐怖や不安に縛られていないか
腰痛でつらい思いをした経験のある方は、「また痛くなったら嫌だなぁ」と思って、腰痛に対して、強い恐怖や不安を抱きます。
特に「腰を曲げることなんてできない!」という方や、ちょっとでも痛みを感じたら動けなくなってしまうような方は、恐怖や不安に縛られている状態と言えますので、注意が必要です。
上記でも少し説明しましたが、不安や恐怖は腰痛を長引かせる事がわかっています。
これは、脳にある痛みの神経回路が、ストレス(不安や恐怖)によって興奮したままになってしまう事が原因なのですが、腰痛を改善させるためには、不安や恐怖と向き合い、しっかりと乗り越えていく必要があるのです。
腰が痛い事でメリットを感じていないか
腰が痛い事が自分のメリットになっていると、症状が改善されなかったり、一度よくなっても、再び腰痛を悪化させる可能性があります。
具体的にどういう事かと言うと、物事を「原因論」ではなく、「目的論」で考えてみるとわかります。
原因論とは、今起きている問題には何か原因があると考えるのが原因論です。それに対して目的論とは、今ある問題は私が何かの目的を達成する手段として起きていると物事を考えます。
ちょっとわかりづらいので詳しくはアドラー心理学の本を読んでいただきたいのですが、腰痛で例を挙げてみたいと思います。
例)
原因論:重労働で腰が痛くなった。
(重労働という原因があって、腰が痛くなっている)
目的論:付き合いのゴルフに行きたくないと思っていたら、腰に痛みがでた。(ゴルフに行きたくないという目的を達成するために、腰に痛みを作り出した)
ホントにこんな事あるの?と思うかもしれませんが、自分の身を守るためには、調子の悪い自分が必要になる場合があるのです。
みなさんも、学校とかで大事な発表の前に、急におなかが痛くなった経験はないでしょうか?あれも、目的論的に言えば、発表の場に出ない状況を作るために、おなかに痛みを引き起こしている。と考えられます。
10代20代の若い方で腰痛が治らず困っている方は、特にこの問題が大きいように思います。
腰が治ったら何をしたいか
これは「改善までのゴールが設定されているか」と少し被る部分もありますが、治った後にやりたいことがあると、腰痛にはプラスに働く場合があります。
なぜなら、「痛みが取れればいい」とだけ思っている方は、その弊害で痛みをずっと探してしまったり、自分の痛みセンサーをフル活動させて、普段人間が感じないレベルの痛みまでも、見つけ出そうとしてしまう恐れがあるからなのです。
何か目的があれば、痛みを追い求める事も少なくなると思いますので、「治って何がしたいか」考えるのも、慢性腰痛の方には大切なポイントだと思います。
3.生活習慣の問題点
慢性的な腰痛は、基本的に今の生活スタイルから引き起こされています。
いくら施術で症状を良くしても、生活習慣が改善されないことには、再び腰痛を悪化させてしまう恐れもありますので、注意が必要です。
患者さんの中には「負担のかかることはしていないし、生活習慣に問題があるとは思えない」と言う方もいらっしゃいますが、残念ながらそれは思い込みです。
問題がないと思っている行動にこそ、問題は潜んでいるものですので、いくつかよくある日常生活の問題を紹介したいと思います。
こちらのページでは、腰痛にならないようにするための予防法をまとめてありますので、あわせてご覧ください。
長時間同じ姿勢を取っていないか
人間は、進化の過程で狩りをしたり、植物を採集するような生活環境には適応してきましたが、残念ながらじっとしている生活には、構造的にあまり対応していません。
効率のよい走りを支えるための、ホモ属で最初に進化したと思われる特徴が、人間の体にはいろいろある。
比較的短い足指(足が安定する)、くびれたウエストに幅広ななで肩、(走行中に腰や頭とは無関係に胴体をひねれる)、さらには脚の遅筋線維の多さ(スピードは出にくいが長距離を走れる)などもそうである。こうした形質の多くは走行にとっても歩行にとっても長所だが、大きな大臀筋、項靱帯、大きな三半規管、短い足指といったいくつかの形質は、〜中略〜もっぱら走る時に役立つ。つまり、これら走るための適応なのだ。引用:人体600万年史(上):科学が明かす進化・健康・疾病 P140より
そのため、歩いたり走ったりする事は得意ですが、パソコンの前でずっと座って作業するような事は、人間にとって負担でしかないはずです。
構造的に見ても、長時間同じ姿勢を取っていると、腰椎に負担がかかり、体を固くしてしまいます。
筋肉を見ても、使わない筋肉は柔軟性を失いますし、ずっと座っているような状態では、完全に休まることなく働かなければいけませんので、緊張が続いた筋肉は固くなり、さらに腰の柔軟性を低下させてしまうのです。
こまめに歩くようにしているか
こまめに歩くことには、主に以下の2つの点から重要です。
関節が固くなるのを防げる
上記でも少し説明しましたが、同じ姿勢を続けることは、関節を固くし、腰痛を悪化させます。
こまめに体を動かしていると、固くなる前に腰を動かす事になるので、結果として腰痛を未然に防げるのです。
体に柔軟性が出てくる
歩行時にかかる下からの衝撃と、歩きによるさまざまな動きは、関節を可動させ、体に柔軟性をもたらします。
普段動かしている人の体を見ると、腰だけではなく全身に柔軟性が保たれているので、例え負担がかかっても、他の部分で負担をさばくことができるので、腰痛の悪化を防げます。
また、体を動かせば筋肉も適度に伸び縮みするので、「固まった筋肉がほぐされる」という効果もあります。
足を組んだりしていないか
足を組むことは疲れた時に何気なくやってしまう動作の一つですが、繰り返していると、次第に骨盤や腰を歪め、腰痛を引き起こす場合があります。
もし、あなたが今片方の足を組んでいるなら、あなたの骨盤は全体的に後ろに傾き、片側の骨盤はさらに後ろに傾き捻じれています。
骨盤の傾きに伴い、腰椎も捻じれ、それを補正するかのように、背中や首の骨にも、歪みが出てしまうのです。
これが長いこと続くと、体のさまざまな場所に問題が生まれてくるので、ただ腰にアプローチするだけでは治らない、複雑化した腰痛が生まれます。
足を組んだ方が楽だったり、組みたくなっているなら、すでにあなたの体は歪んでいる可能性があるので、注意してください。
まとめ
腰痛が治らなくて困っているなら、一度施術面、心理面、生活面で、自分がうまく行っていないポイントをチェックしてみてください。
今回は20個ほど挙げてみましたが、心理面や生活面の問題は、普段自分が悪いと思っていない部分です。
問題点に気づきにくく、自分の考え方や生活スタイルを変えることは簡単ではないですが、腰痛改善に役立つ場合がありますので、ぜひ参考にしてみてください。