新常識!腰痛の原因はもしかしたら脳かもしれない

腰痛

あなたは今、腰痛の原因が脳にあると言われている事をご存知でしょうか。

つい先日放送されたTBS「予約殺到!凄腕の専門外来SP」や、NHKの「腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム」などで、腰の痛みが脳から引き起こされてると紹介されていました。

一見腰痛と脳はまったく関係なさそうに見えるのですが、実はこの2つ。密接に関係しているのです。

慢性腰痛を抱えている方にはかなり画期的な事なのですが、実際の臨床現場では、腰痛に対して脳との関係性だけで考えるのは不十分です。

そこで、今回は治療者の目線から、腰痛と脳の関係について解説していこうと思います。

1.腰痛の原因が脳にあるってどういうこと?

ではまず、腰痛の原因が脳にあるとはどういうことなのでしょうか。

痛みのメカニズムから、なぜ腰痛の原因が脳にあると言われているのか見ていこうと思います。

痛みのメカニズム

通常、腰痛は筋肉や関節、神経の問題によって引き起こされます。これらに問題が起こると、人はその異常を痛みとして電気信号に変換し、脊髄を通って脳に伝えます。

脳がこの情報を受け取り、痛みの回路が生まれる事で、人は初めて「腰が痛い」と感じることができます。

その為、問題が落ち着けば、普通は自然と症状も落ちついて来くるのですが、患者さんの中には、「いつまでたっても痛みが取れない」という方がいます。

腰に問題がないのに腰が痛い。というのは変な話なのですが、今までこれらの腰痛は、原因不明の慢性腰痛とされて来ました。

慢性腰痛とは?

慢性腰痛とは、レントゲンやMRIを撮っても原因がわからず、治療してもよくならない。そして、その症状が3ヶ月以上続く腰痛を、『慢性腰痛』といいます。

日本では、かなりの数の方がこの慢性腰痛と言われているのですが、最近、この慢性腰痛には、脳が深く関わっている事がわかってきました。

脳と腰痛の関係

カナダのマギル大学の研究によると、慢性腰痛がある人とない人とでは、DLPFCという脳の回路に、大きな働きの違いがある事がわかりました。

DLPFCは、痛みの神経回路を沈静化する働きがあるため、通常であれば、腰の回復と共に脳の神経回路も落ち着いてきます。

しかし、慢性腰痛の方は、痛みに対するストレス(恐怖心等)がDLPFCの働きを弱めてしまいますので、結果として痛みの回路が興奮したままになってしまうのです。

痛みの回路が沈静化しなければ、当然腰痛も収まる事はありませんので、今の腰痛の原因は脳ではないか?と言われている根拠は、こういった所にあるのです。

詳しく知りたい方は、NHKスペシャル 「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム~」をご覧になってみてください。

DLPFCとは?

DLPFC(背外側前頭前野)とは、脳にある前頭前野の一部で、判断、意欲、興味をつかさどったり、短期記憶やワーキングメモリにも関係があると言われています。

大脳の司令塔とも呼ばれている部分で、痛みの回路に対して興奮を鎮めるよう指示しますので、ここの機能が低下してしまうと、痛みが長引いてしまうのです。

また、DLPFCは扁桃体のバランスを整える働きもあると言われています。

扁桃体は情動反応や記憶とも関係しているのですが、「恐怖」や「不安」と言った感情とも深い関係がありますので、腰痛を必要以上に怖がってしまうと、扁桃体が過剰に働き過ぎてしまい、その過剰さがDLPFCの働きを阻害し、痛みが沈静化しない。という現象が起こるのです。

人間は、何か危険を察知すると、扁桃体が活発に働く事でストレスホルモンを分泌し、外敵から身を守れるようにしてくれます。

本来であれば、自己防衛のための大切なシステムですが、この反応が過剰になってしまうと、腰痛を長引かせる事にもなってしまうので、注意が必要なのです。

2.脳(心理面)に原因がある人の特徴は?

では、自分の腰痛が脳と関係しているのか気になると思いますので、DLPFCが衰えやすい人の特徴と、私の臨床経験から、心理面に原因があると思われる人の特徴を、いくつか挙げてみたいと思います。

強い恐怖心がある

腰痛に対して強い恐怖心を持っている方は、DLPFCの働きが弱まっている可能性が高いので、脳に原因がある可能性があります。

特に、過去にひどい腰痛を経験している方は、「また腰が痛くなったらどうしよう」という強い恐怖心をもっているので、注意が必要です。

検査しても問題がない

レントゲンやMRIによる画像診断と、徒手による検査で患部に問題がないのなら、心理面が痛みの原因になっている可能性があります。

通常、骨や椎間板等に問題があれば画像診断でわかりますし、筋肉や関節の問題は、徒手による検査や体を動かしてもらうことでだいたいわかります。

「動かせない、出来ない」と思っている

腰痛を持っている方の中には、「腰を全然動かすことが出来ない」と思い込んでいる方がいます。

確かに腰が悪いと動かせなくなる事もあるのですが、多くの方は「動かしてみたら動けなかった」というより、「動かすと痛くなりそうで動かせない」という方がほとんどです。

後者の場合「動かす」ということに対する不安から来ているものですので、心理面が強く影響しています。

何をしていても痛いと感じる

人間の構造上、何をしていてもずっと痛いということはありえません(一部内科系の疾患の場合は例外です)。

反ることが難しい方でしたら前にはかがめるわけですし、朝つらい腰痛も、夜には痛みが変化しているはずです。

それでも、「常に同じように腰が痛い」と言う方は、心理面がかなり影響を及ぼしている可能性があります。

痛みをずっと探している

痛みをずっと探している方は、基本的に「体が痛くない事を確認して安心したい」という思いを持っています。

一度確認して安心できればいいのですが、何度も何度も確認するという事は、不安が解消されていない証拠でもありますので、当然DLPFCには強いストレスがかかっています。

3.脳が原因の腰痛を改善するにはどうすればいいの?

脳が原因の腰痛を改善させるためには、心理面と構造面、両方からのアプローチが必要となります。

具体的に腰痛を治す方法は「プロが教える腰痛をしっかり治すための6ステップ」で紹介していますので、今回は簡単にご紹介しようと思います。

構造的な問題がないか検査する

構造的な問題を診る検査としては、レントゲンやMRI等の画像診断と、徒手検査と呼ばれる人の手による検査法を行うのが望ましいです。

画像診断で異常が見られなければ、基本的に重度の問題はないと思われますので、後は筋肉や関節周辺組織の問題か、心理面の問題となります。

筋肉や関節周辺組織の問題を診るには、私達が行っているオステオパシーのように、体の構造を細かく診ることが出来るものが良いと思います。

構造に問題があった場合

上記で構造に問題があったとしても、脳に原因がないとは限りません。

多くの方は両方に問題を抱えているので、構造的な問題と、心理面の問題、どちらもアプローチしていく必要があります。

構造的な問題の改善法として、画像診断で重度の異常が見られた場合には、お医者さんの指示にしたがっていただくのが良いと思います。

画像診断で問題がないなら、筋肉や関節が問題の可能性もありますので、当院のような治療院で、検査を行いながら問題を改善していくと良いと思います。

この時、心理面に問題がある方はだいたい治療していてわかりますので、構造を治療しながら、同時に心理面もアプローチしていく事になります。

脳(心理面)に対するアプローチ

先ほど、「腰痛に対する恐怖心がDLPFCの活動を低下させる」と説明しましたが、今度はこの恐怖心と向き合い、しっかり乗り越えていく必要があります。

もし、あなたが体を動かすことが「出来ない」「動けない」と思っているなら、まさにこの恐怖心にハマっている状態ですので、一度ホントに体を動かすことが出来ないのか確認してみてください。

テレビの放送では、認知行動療法が効果的と言われておりましたが、恐怖心を乗り越えるためには、「実際に体を動かす」という事も効果的です。

慢性腰痛を抱えている方の多くは、「痛いから動かさないようにしよう」とか、「安静にしておこう」と、体の動かさない事ばかりに神経を集中させていますが、これでは一向に恐怖心は乗り越えられません。

構造的な問題が解決しているなら、過度に心配する必要はありませんので、「怖いけど動かしてみる」、「痛くなりそうだけどやってみる」というように、勇気を出してみてください。

ここで一度動けることがわかれば、怖さもどんどん落ち着いて来ますし、DLPFCの低下も防げます。

恐怖心と上手く向き合うポイント

「恐怖心を乗り越えることが必要だ」と言っても、そう簡単に乗り越えられないのが人間です。それまでずっと辛い思いをしてきたので、すぐには変われない方もいるかもしれません。

そんな時は、私達のような治療者と相談したり、人の心理を扱うプロの、カウンセリングを受けてもいいかもしれません。構造の変化と、心理面の変化を見比べれば、自ずと問題点も見えやすくなります。

実際アプローチをする時は、ただ動かしてもらうだけでなく、構造的な問題を取り除きながら、何によって不安や恐怖が強くなっているのかを分析していきます。

また、どこまでが心理面でどこまでが構造の問題か、自分でもよくわかっていない患者さんも多くいまので、「腰痛が治らない19の原因と対策法」も、あわせてご覧になってみてください。

まとめ

「腰痛の原因が脳にもある」という事が科学的に証明されたことは、今まで腰痛が改善しなかった患者さんにとって、一筋の光が指したと言っても過言ではないと思います。

改善のためには、自分の持っている「恐怖心」と向き合わなければなりませんが、治療では単に腰痛と脳の関係だけを考えればいいわけではありません。

放送に出ていた福島県立医科大学の菊地臣一先生もおっしゃっていましたが、腰痛を治療するには、全体を見なくてはいけません。

1人では解決が難しい部分もあると思いますので、そんな時は、是非専門家の先生に相談してみてください。