筋トレや腰痛体操は、手軽にできる腰痛の予防法として人気です。しかし、いくらこれらの方法を試してみても、一向に「腰痛が予防できない」「なかなか続けられない」という経験はないでしょうか?
せっかくやろうと心に決めたのに、うまくいかないと落ち込んでしまうものですが、心配はありません。実は腰痛を予防するためには、特別な事は必要ないのです。
ちょっとしたポイントを意識するだけでも、腰痛は防ぐ事ができますので、今回は何人もの患者さんを見てわかった腰痛予防の秘訣を紹介したいと思います。
腰痛を効果的に予防するためには?
腰痛の予防は、「日常の中でいかに自然と腰の負担を減らし、回復できるようにするか」が鍵です。
「予防のために頑張らなくては!」と気合を入れても、生活のリズムに取り込めなければ、次第に無理が出てしまいますので、継続するのがつらくなってしまいます。
ここではそういった状況を避けるために、手軽にできる方法をメインに紹介していきたいと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
生活に適度なウォーキングを取り入れよう
適度なウォーキングは、腰椎や筋肉を柔軟に保ってくれますので、積極的に取り入れてください。特に私がオススメしている方法は、生活の空き時間を使って、1日20分程度歩くという事です。
人によっては、「普段から歩いてるけど腰は痛いよ?」という方もいるかもしれませんが、予防の意識を持って歩く事と、ただ歩く事は別ものです。
そのため、ウォーキングをする際は、以下の事に気をつけてみてください。
- なるべく荷物は持たない
- 片側で荷物を持たない
- 歩きやすい靴で歩く
- 歩幅は気持ち広めに
- 腕をしっかり振る
- 股関節や骨盤がしっかりと動いているか確認する
- 一つ一つの背骨が動いている事を意識する
慣れないうちはすべてを意識するのは難しいと思いますので、最初は楽な格好で、体を自由に動かす事を意識するだけでも良いと思います。
実際に歩いてみると、歩く前と後とでは、体の動く範囲が広がって、スムーズになっている事に気づくはずです。
もし、歩いた後も股関節や骨盤、背骨が動いていないと感じても、しばらく続けると関節はほぐれてきますので、あまり心配する必要はありません。
ですが、何日続けても動きが感じられない場合は、相当ひどく関節が固着している可能性がありますので、別途しっかりとした施術を受けたほうが良いと思います。
ウォーキングする際の大切なポイント
これは先程も書きましたが、ウォーキングをする際は、なるべく「腰痛予防のために一生懸命頑張るぞ!」と意気込むのではなく、生活の中で自然と歩く時間を増やせるように、無理なく取り入れてあげるようにしてください。
それをせず、無理して意気込んでしまうと、次第に歩く事がストレスになってきますので、結局継続するのが難しくなり、腰痛の予防にもつながりません。
ウォーキングの効果を最大限引き出すためには、「なんとなく歩く時間を増やしていたら、自然と腰痛にならなくなっていた」というのが理想ですので、ストレスにならないように、無理ないリズムを自分なりに考えてみてください。
大腿部や骨盤周りの筋肉を柔軟に保とう
大腿部や骨盤周りの筋肉は、腰や骨盤のバランスを決める上で重要なポイントです。
有名なものとしては、ハムストリングスや大腿四頭筋、腸腰筋(大腰筋)などがありますが、当院では、それらの筋肉よりも、腸脛靭帯と大腿筋膜張筋に注目しています。
現代人は、体を動かす事よりも同じ姿勢での作業が多いですが、立ったり座ってたりしている時でも、力を抜けば体は倒れてしまいますので、無意識に筋肉を緊張させて、バランスを保っています。
その時に、左右のバランスを取る上で需要なのが、この腸脛靭帯と大腿筋膜張筋なのです。
腸脛靭帯と大腿筋膜張筋は、体の側面に位置としているため、体が左右に傾いた時に、反対側が緊張する事でバランスを保つ働きをしています。
これだけであれば特に問題はないのですが、何らかの要因でここが緊張しすぎてしまうと、骨盤を片側に傾ける事になってしまうので、結果として腰痛を引き起こす可能性があるのです。
腸脛靭帯と大腿筋膜張筋を緩める方法
外側の筋膜はストレッチでは緩めづらいため、当院ではテニスボールを用いた方法をオススメしています。
以下その方法です。
1.まずはテニスボールを用意してください。テニスボールがなければ、似たような形状で、ある程度の柔軟性があるものであれば代用が可能です。
※野球の軟式ボールで代用されている方もいますが、固すぎて体に合わない場合もありますので、初めは柔らか目なものから試してみたほうが良いと思います。
2.テニスボールが準備できましたら、今度はそれを、床とももの外側で挟むようにしてください。
3.少しずつテニスボールに体重をかけていき、ももの外側にある腸脛靭帯や大腿筋膜張筋に刺激を加えていきます。
この時、一気に体重を乗せるとものすごく痛かったりしますので、反対側の足を立てた状態で、力をコントロールしながら徐々に行ってください。
4.場所としては、膝上から骨盤の横くらいまで、広い範囲で刺激してあげると良いと思います。
途中大転子と呼ばれる大腿骨の出っ張りがありますので、そこには当てないように注意してください。
1カ所だいたい5秒から長くても10秒くらいで良いと思いますので、同じ場所をずっと刺激し続けるより、まんべんなく行う事が大切です。
5.片側を刺激したら、必ず反対側も同じように行ってください。
片方だけ続けても、筋膜が緩む量には限界がありますし、最悪バランスを崩してしまう恐れもあります。
左右両方行うことで、骨盤が自由に動けるようになりますので、必ず反対側も行うことを忘れないでください。
この方法のメリット
この方法のメリットは、何と言っても家でダラダラしている時にできるという点です。
ジムに通ったりするのはハードルが高いですが、家で好きな時間にできるなら、気楽に始められると思いますので、まずは無理のない範囲で、簡単な事から始めてみてください。
初期症状や前兆に気付く
腰痛を防ぐためには、初期症状や前兆に気づくことも大切です。
多くの方は、これらの異変に気づけなかったり、無視しているため症状が悪化してしまうのですが、早いうちに手を打っておけば、ひどい腰痛は防げます。
また、初期段階の問題は、「改善が楽」というメリットもあります。
散々体を放置していて、ひどい状態になっている腰痛を良くするのは大変ですので、異変に気付いたら、すぐに対処することを心がけてみてください。
腰痛の前兆には、以下の様なものがあります。
- 腰が重い
- 脚が張る
- 脚を組みたくなる
- 座っているとすぐに足が疲れる
- 両足でまっすぐ立てない
- スカートやズボンが回る
- 腰が動かしづらい
など。
異変を感じたらどうすればいいの?
腰に異変を感じ始めたら、まずは今やっている姿勢や作業が、自分にとって負担になっていないか確認する必要があります。
座り過ぎで腰がおかしくなっていたなら、少し体を動かす必要がありますし、何かの重労働をしていて異変が起きているなら、その作業はいったん中止しないといけません。
簡単なものであれば、上記で紹介したウォーキングと腸脛靭帯のアプローチで体は変わってくると思いますが、いつまでたっても体が歪んでいたり、腰や足の違和感が取れない場合は、専門家にお任せした方が良いと思います。
座る、立つ、歩く、寝るをまんべんなく行う
人間は、何か一つの動作に偏ると腰を痛めてしまいますので、座る、立つ、歩く、寝ると言った動作を、まんべんなく行ってあげる必要があります。
夜寝ている時は寝返りを打っているのでそんなに問題はありませんが、注意しなければいけない場面は、仕事で長時間座っている時や、ソファーで寝っ転がったり体を捻ったままダラダラしている時です。
いくら予防のために努力していても、同じ姿勢が1時間でも続けば腰の状態は悪化してしまいますので、軽く歩くなどして、体をリフレッシュする事が大切です。
デスクワークの方でしたら、こまめにトイレに立つだけでも体の状態は違いますし、立ち仕事の方でしたら、ちょっと歩いたり座る時間を設けるだけでも、体に対するダメージは変わります。
大切な事は、一つの状態に留まりすぎない事ですので、腰に異変を感じる前に、姿勢を変えてみてください。
たまには体をチェックしてもらおう
いくら自分で気をつけていても、一人でできることには限界がありますので、たまにはプロのチェックを受けて、体を整えてあげてください。
特にしばらく自分でケアしていると、それ以上体が変化しなくなってしまったり、自分で気づいていない部分で体が悪くなってる事もあるので、第三者の視点から、体を見てもらう事は大切です。
例)ずっと同じ所をストレッチしていたら筋肉が緩まなくなった。
腰痛が予防できていて、組織の状態が改善されているならそれ以上何かをする必要はないですが、改善途中でこのような状態になってしまったら、問題が別の所にある可能性があります。
また、気になる事がある方はそこで相談してみても良いですし、痛みがなくても定期的にメンテナンスを受ける事で、腰痛の予防効果が高まります。