捻ってないのに足首に痛みが出てしまったダンサーの症例報告

足首の痛みスポーツ障害

30代女性 ダンサー Kさん。
捻挫をしてしまったかも。ということで来院されました。

足首が痛いとの事でしたが、お話を聞いていると特別足を捻ったわけではなく、練習で痛めた所に雪道を歩いて負担がかかったとの事。

丁度いらっしゃる数日前に都心で大雪が降っていたので、無理して歩いた事で酷くなってしまったのではないかとおっしゃっていました。

※捻挫が疑われる場合は、基本的には最初に整形外科さんに行ってもらい、骨に異常はないか調べてもらったほうが良いのですが、特に捻ったりしていない場合は、そのまま来て頂いても大丈夫です。

足首の症状・身体所見

症状が出ていたのは左足首の内側で、足を回外させる動作や荷重時に痛むとの事。

足関節や距骨の可動性が悪く、内側の楔状骨と第一中足骨の間にも緊張があったため、内側のアーチにも乱れが生じているようでした。

距骨の状態はかなり悪く、それに伴い足首が外反していましたが、触った感触からしてここに問題があるというよりも、大本の原因が他にあり、それにより緊張が作られている事が推察できました。

また、全体をチェックしていると、足首以外でも腰椎の歪みや股関節の固さ、大腿部筋膜の緊張に胸椎の歪みも確認できました。

施術

施術は体のバランスを見て、構造的に問題の大きい所からアプローチしていきました。

痛みが内側だったため、一応足根管症候群や三角靭帯の損傷も考えられましたが、痛みの出る位置などが違ったため、何かの問題が距骨の緊張を作り、それが距骨下関節やその周辺組織、底側踵舟靱帯などに悪影響を出しているのではないかと考え施術を開始しました。

検査によって腰椎や股関節、左の臀部から大腿部にかけての筋膜緊張がわかっていたため、それらを一つ一つ緩めて行ったのですが、緊張が取れてくると、足首の固さにも徐々に変化が見られました。

足関節はこれだけでも緩んでしまったのですが、距骨は相変わらず動きが悪く、最初よりは良いと言ってもまだ動きが制限されている状態です。

その後、心理的な緊張や別の問題が表面化されてきたため、それらをアプローチすることでようやく可動性が改善されて来たのですが、触っている感覚としては、まだ問題が残っているように感じていました。

感覚としてはまだまだでしたが、体のバランスがある程度取れていたので患者さんに確認してもらうと、「最初よりは良いけど、まだ違和感があるのと、足首が内側に落ち込んでいるような感じがある」とのこと。

このような場合、体の状態が整っているので2,3日様子を見てもらう事も多いのですが、自分の感覚としてまだ何か残っているような気がしたので、問題が残っていないかあぶり出しの作業を行う事にしました。

状態が改善されていても、体が変化するのに時間がかかったり、痛みの神経回路が落ち着くのに時間が必要な場合もあります。

あぶり出しにはいくつかの方法があるのですが、その中の一つを試してみると、一見体は整っているような状態でも、心理的な問題が隠されていた事がわかりました。

これは、その人の抱えている問題が大きかったり、今の自分の状態では処理できないと思われる時に、体が問題を認識にしないように隔離してしまっている状態です。

検査としても異常が出ないことが多いため、通常は見逃されたり、アプローチできるタイミング来るまで待つ場合がほとんどなのですが、今回の場合は患者さんに準備が出来ていた事と、本人としても自覚があったらしいので、表に出てきてくれた問題にアプローチする事ができました。

アプローチしてあげると、体から緊張が取れて行くのがわかりましたので、施術は終了といたしました。

患者様の声

足首の痛み
「踊りの稽古中怪我をして来院しました。治療の後に重く上がらなくなった足が軽々挙げるようになりました。ありがとうございました。」

感想

今回は構造的な問題と、隠れた心理的な問題が絡み合って症状を作っていた珍しいケースでした。

本来足にかかった荷重は距骨を介して一方は踵へ、もう一方は舟状骨や足の指の方への力を分散していくのですが、今回のように距骨の可動性が悪く、内側に落ち込むように位置がズレてしまうと、力を分散する事ができなくなるため、直接負担がかかり、痛みが出たのではないかと考えられます。

心理的な問題から緊張が作れられるのはよくある事ですが、このように表面化されず、一時的に隠されているパターンはあまり見ないため、症例報告にご協力頂きました。

掲載のご了承を頂き、ありがとうございました。

※患者様ご本人の了解を得て掲載しております。
※効果には個人差がありますのでご了承ください。