現在、新規のご予約はお断りさせて頂いております。

フォーカルジストニアに対する鍼灸・整体について

フォーカルジストニア

フォーカルジストニアは、ピアニストやギタリストなど、音楽家に多い障害です。

基本的には脳からの司令異常で問題が起こると言われていますが、アプローチ手段の一つとして、鍼灸や整体を考えている方も多いと思います。

まだまだ研究が必要な分野ですが、鍼灸や整体よるアプローチについてまとめてみましたので、施術をご希望の方は参考になさってみてください。

フォーカルジストニアの原因などについては、こちらのページでまとめてあります。

フォーカルジストニアの原因とは?
フォーカルジストニアは局所性(職業性)ジストニアと呼ばれ、音楽家などに多い病気です。まだまだ研究が必要な疾患ですが、原因についてまとめてみましたのでご覧ください。

フォーカルジストニアに対する鍼灸や整体について

フォーカルジストニアに対して、鍼灸や整体領域でアプローチできる部分としては、以下のような所です。

  • 筋緊張の緩和や血流の改善
  • 筋膜や関節、神経などの構造的問題を整える
  • 体に影響を及ぼすトラウマや心理的なひっかかりの解消
  • 体の位置等を把握する固有感覚の異常を整える
  • 神経の伝達を邪魔する問題の把握

など。

当院で行っているアプローチ

具体的に、当院で行っているアプローチを紹介したいと思います。

手技による心身へのアプローチ

フォーカルジストニアの原因は、「ボディマップや神経伝達系の異常」ですが、痛みや構造的な問題、固有感覚のズレは、これらの異常を引き起こす可能性があります。

心身の問題を取り除いて置くことは、ボディマップを改善させるためにも、体を良くするためにも必要な要素だと言えますので、当院では様々な手技療法を用いて、これらの問題にアプローチしていきます。

以下は一例ですが、もし手に症状が出ているなら、このような部分をチェックして行きます。

  • 関節が動いているか(指、手関節、肘関節、肩関節、頚椎、胸椎など)
  • 神経が緊張したり過敏になってないか(橈骨神経、正中神経、尺骨神経、腕神経叢など)
  • 前腕の骨の間にある骨間膜
  • 過去怪我した部分は正常か、外力や衝撃の痕跡が残ってないか
  • 体の位置感覚のズレはないか
  • 左右や全身のバランスは整っているか
  • 心理的な問題から体は緊張しないか
  • 神経の伝達に異常はないか

など。

人間のメカニズムはかなり複雑ですので、実際にアプローチしていく際は、心理的な側面も含めて、全身の状態を見ていきます。

また、人によってはボディマップの異常より、筋膜や関節、神経の問題から、スムーズな動きができていなかった可能性もあります。

これらはフォーカルジストニアではないですが、知識のある方はご自身の症状と結びついてしまいますので、「自分はフォーカルジストニアではないか?」と悩まれている方もいらっしゃいます。(これらのパターンは、不随意な運動が出ているというより、手の動かしづらさが主問題かもしれません)。

キネシオロジー検査を用いたアプローチ

キネシオロジー検査とは、アメリカのカイロプラクティックドクターにより作られた検査法で、筋肉の反射テストを用いる事によって、「体に何が悪影響を及ぼしているのか」という事を、反応から調べることができます。

具体例にどのような事をやるかと言うと、腕を真っ直ぐ前に伸ばした状態で、その位置を維持してもらいます。術者は腕を上から押すので、腕が下がらないように耐えてもらいます。

これを、何も考えてない状態(ストレスがない状態)と、自分が嫌なことや、ストレスな事を想像している状態で、それぞれ行って行きます。

すると、ストレスがない状態なら腕はそのまま下がらないで保てますが、嫌な事を想像している状態だと、腕に力が入りづらくなったり、「下がってしまう」という反応が起こるのです。

人間の体は、脳からの電気信号によって動いています。

ストレス刺激がない状態だと、神経の伝達によって、脳からの情報は、スムーズに筋肉へ伝わるのですが、ストレス刺激がある状態だと、脳からの電気信号がうまく伝わらないため、筋肉にうまく力が入らなくなったりするのです。

これはあくまでも「筋肉」の反応を見ているだけですが、脳からの信号は全身に伝わりますので、筋肉以外にも、様々な所に影響を及ぼします

体にとってストレスではないものなら、この反応は起きませんので、力が入りづらくなったり、腕が下がるようなものが出てくれば、それは体にとって、悪影響を出しているものだといえます。

キネシオロジー検査をしていると、たまに力比べなのかな?と思って、全力で協力してくださる方がいます。

ですが、これはそういった類のものではなく、筋肉を動かす時の「神経の反応」を見ていますので、潜在的に何をストレスと感じているのか、何がストレスとして体に影響を出しているのかなどを、反射から読み解くことができるのです。

実際に見ていくものの例としては、

  • 体の構造的な問題
  • 化学物質やホルモンなどの生体化学的問題
  • ストレスやトラウマ等の心理的問題
  • 電磁波やジオパシックストレスなど環境的な問題

などです。

細かく挙げればきりがないですが、出てきた問題に対して、丁寧に体の状態を整えたり、生活環境の問題や心理的問題の改善に役立てます。

心理面なアプローチ

「体を動かす」という事や、筋肉や関節などの状態には、心理的な問題も影響を及ぼします。

手を動かす時に、「動かなかった記憶」が頭をよぎったり、演奏やプレーに対する不安やストレスが強くなってしまうと、症状の悪化につながる場合がありますので、これらの問題は、できる限り改善しておいた方が良いと思います。

当院の場合は、心理療法や手技療法を組み合わせてこれらの領域にアプローチしていきますが、人によっては、専門的な心理カウンセリングや、メンタル系のトレーニングと並行して行った方が良い場合もあります。

心理的な問題を強く抱えている方の場合、どうしても目的の動きを行おうとするより、うまく体をコントロールする方に、意識が行きがちになります。

これは次に紹介する「体をコントロールしようするのをやめよう」にもつながってくるのですが、本来自分が目的とする動作に全神経を注がなければ行けない時に、不安やストレスに襲われていては、純粋に演奏だけに集中できなくなりますので、うまく体を動かす事ができなくなります。

また、体が動かないという事は、メンタル的にも強い負担をかけますので、今の自分の症状と、上手く付き合える方法も模索する必要があります。

その他改善のために考えられる事

ここまでで、鍼灸や整体領域でできる事について解説してきましたが、それ以外にも、改善のために参考になりそうな事がありますので、紹介したいと思います。

体をコントロールしようするのをやめる

個人的には、これが1番難しいように思います。

「コントロールしようとしなきゃ動かないじゃん」とお思いの方もいるかもしれませんが、フォーカルジストニアになるような方は、それまで散々その動作を繰り返して来た方達です。

本来であれば、いちいち体の動きを意識せずとも、目的に向かって、高いレベルでその動作を行えていたはずです。

ピアノで綺麗な音色を出す時も、ゴルフで良いショットを打つ時も、必要なのは自分の体に染み付いた感覚を信じてあげる事ですので、余計な事は考えず、目的に向かって進むことが大切です。

人間の体は様々筋肉や神経が相互に影響し、調整しながら動きを作っているため、一つ一つの動作に意識を向けていると、動きがぎこちなくなってしまいます。

場合によっては、体が無意識に行っている調整を妨害してしまう事にもつながりますので、あなたが初心者の方でない限り、必要以上に体をコントロールしようとするのは止めた方が良いと思います。

ただボールを投げるという動作一つとっても、指や手関節の屈筋群を使って指の関節を曲げ、ボールを適度な強さで握り、肘を伸ばしながら腕を後ろへ持っていき、同時に反対の肩を挙げ、左足の股関節を使い、膝を曲げると同時に右足に体重を載せて…というように、とても全てを意識して動かすのは無理な事がわかります。

それでも頑張っていると、まるでアクセルを踏みながらブレーキを踏んで、なおかつギアの操作もしている車のような状態ですので、次第に体は壊れてしまいます。

休養を取る

プロとしてお仕事をされている方には辛い事だと思いますが、休養はやはり必要です。
これはただ休めば良くなると言う話ではなく、以下の3つの点からも大事だと思われます。

症状と距離を取れる

今まで出来ていたものが出来なくなると言うことは、患者さん本人に強い心理的負担を与えます。

なんで動かないんだ!という怒りや、もう駄目かもしれないという恐怖や焦りなどが入り混じり、症状だけでなく、メンタル的にも追い込まれた状態になってしまう場合もありますので、一旦時間を置いて、距離を取ることは大切です。

心理状態が良くないと症状を悪化させてしまう場合もありますし、プロとしてやってきた方はそれだけいろいろなものを捧げてきていると思いますので、体と心の負担を減らすためにも、体を良くするためにも、休養は必要です。

他の部位に負担をかけずに済む

思い通りに体を動かせなくなると、どうにかして動かそうと体は代償運動を行いますので、無理な動きをしてしまい、体に負担をかけてしまう場合があります。

初めはそれでも何とか誤魔化せますが、無理な動きは長くは続かないため、次第に別の部位に負担がかかってしまい、更に手を動かせなくなる可能性があります。

そのため、「無理に動かす」ということは、なるべく避けたほうが賢明と言えます。

ボディマップが変化する可能性がある

ボディマップは可逆性に富んでいるため、成人してからも変化が常に起きると言われています。

実際休養によってどこまで熟達者のマップが変化するかはわかりませんが、動かさない状況が続けば、それに対して脳は新たに適応を始めますので、ボディマップを変化させる可能性があります。

また、手が動かない状態で更に動かし続けていると、余計マップを混乱させてしまう恐れがあるので、それを防止することにもつながります。

体の使い方を再び勉強する

今までの体の使い方は、特定の動作を行う時に、異常が出ることがわかっています。

そのため、異常が出た運動パターンをそのまま使うのではなく、正しい使い方を学び直すことで、新しい運動パターンを獲得できる可能性があります。

メジャーな所では、アレクサンダーテクニークやフェルデンクライスメソッドなどがありますが、あらためて体の使い方を学ぶことは、自分で気付かない発見が多く、症状改善に役立ちます。

また、いくら症状が良くなっても、使い方が悪ければ再び症状を悪化させる可能性もありますので、負担の少ない正しい使い方を学んでいく事は、今後のプロ生活を考えても、とても有益だと思います。

運動をイメージしよう

実際に自分が演奏をしている姿をイメージすると、筋肉が動いていないにもかかわらず、運動を司っている脳領域が活性化されるため、ボディマップに変化が起こる可能性があります。

この「筋肉が動いていない」というのがポイントで、運動をイメージするだけだと、筋肉に信号が送られる事はありませんので、異常が起きた運動パターンを使わずに済み、脳の神経領域で、異常パターンとは違った部分を使ってくれる可能性があります。

これがイメージトレーニングの有効な理由なのですが、フォーカル・ジストニアに対しても、異常が起きている運動回路を使わずに済みますので、症状の改善につながる可能性があります。

運動をイメージすることは、主にボディスキーマの「視覚」を使った方法です。自分が今まで見たことのある記憶を呼び起こして、イメージを作ってみてください。ピアニストの方であれば、自分がピアノの前で椅子に座っていて、実際にピアノの鍵盤を叩き曲を演奏しているかのように。

視覚と聴覚からのフィードバックを使おう

ボディスキーマには、体の内部からの信号を読み取る領域と、内耳からの信号を読み取って平衡感覚を生み出す領域があります。

ボディスキーマは触覚、視覚、固有感覚、平衡感覚の相互作用から作られたもの。

そこで、単に練習をして自分の固有感覚や触覚だけに頼るのではなく、視覚や平衡覚といった感覚も使ってあげることで、ボディスキーマを調整しようという作戦です。

私自身はバランスボードしか試した事はありませんが、バランスを取ることだけに意識が向いていれば、平衡覚からの強烈なフィードバックが体にかかってくれるので、ボディスキーマが改善される可能性があります。

※手の症状に対してどこまで効果的かはわかりませんが、うまく上半身の動作と絡められると良いかもしれません。

異常の出ていない運動パターンを使う

イップスになってしまったゴルファーが、克服用に特別な形状のパターを使うことで乗り越えた例があるそうですが、これらを見ていると、道具やスタンスを変えることは、一つの有効な選択肢となる可能性があります。

道具の形状やバランスが変われば、当然体の使い方も変わって来ますので、今まで使っていた運動パターンを使わなくて済み、動員される神経回路も変わります。

ピアニストやヴァイオリニストなど、音楽家の方は難しいかもしれませんが、道具を使うスポーツの方には、効果があるかもしれません。

ミラーボックスを使う

ミラーボックスはよく幻肢痛のリハビリなどに用いられている方法で、箱の中央に鏡を置き、健常な腕を入れ、鏡に映った健常な腕と、患部側の腕が重なるように置く事で、視覚と固有感覚によるフィードバックを起こし、ボディスキーマのリセットを目的とした方法です。

目からは健常な腕が2本に見えるため脳がだまされるのですが、ボディスキーマのリセットが期待できるということは、フォーカルジストニアにも応用できる可能性があります。

ミラーボックス

まとめ

フォーカルジストニアは、ボディマップに異常が生じることによって起こる障害で、まだ解明されていない部分も多いですが、改善のためには、異常が起きたボディマップを変化させることが重要なポイントになってくると思います。

今回の記事では、そのための方法をいくつかご紹介しましたが、人によって何が効果的かは未知数な部分もありますので、体の固有感覚に対するアプローチだけでなく、構造的なケア、心理的なアプローチも含めて、様々な角度から症状を見ていく必要があるのではないかと思います。