膝関節を伸ばすと痛いなら坐骨神経が原因かもしれない

膝の痛み

膝の痛みの原因というと、よく言われるのが軟骨のすり減りや、靭帯の損傷です。

軟骨のすり減りは加齢によって起こりますが、靭帯の損傷はスポーツなどの怪我によって起こるため、「仕方ない」と膝の痛みを諦めてしまっている方も多いのではないでしょうか。

しかし、確かに軟骨や靭帯の問題は痛みを引き起こしますが、「膝を伸ばすと痛い」という症状をお持ちの方の場合は、もしかしたら大本の原因が膝ではなく、坐骨神経にあるかもしれないのです。

自身の状態をしっかり把握しないまま悩んでも辛いだけですので、今回は膝を伸ばす時に痛みがあり、坐骨神経が主な原因となっている膝痛についてまとめてみました。

なぜ坐骨神経が膝の痛みの原因なの?

膝痛の原因は多岐に渡るのですが、よく知られているのが加齢による軟骨のすり減りや、運動による靭帯の損傷です。

軟骨がすり減ると骨と骨とが直接ぶつかってしまうため、擦れた部分に痛みが出ると言われているのですが、膝関節を伸ばす時に痛みが出る場合は、比較的軟骨の問題は少ないように思えます。

また、靭帯の損傷に関しても、歩けないレベルで酷く腫れているような状態ならすぐに病院に直行して頂きたいのですが、そうではないものに関しては、神経の影響は結構大きいと思います。

半月板を損傷している場合は、膝を伸ばした時に痛みが出る場合がありますので、スポーツ中に起こった症状に関しては、注意が必要です。

では、何故坐骨神経が原因で、膝を伸ばした時に痛みが出てしまうのかというと、坐骨神経が緊張していると、ハムストリングスや腓腹筋と言った、下肢後面の筋肉や筋膜が緊張します。

緊張した筋肉や筋膜は、膝を伸ばす時に引っ張る働きをしてしまいますので、関節のスムーズな運動が妨げられ、センサーが異常を感知し、痛みを脳に伝えます。

だいたい膝の悪い患者さんを見ていると、同時に腰も悪いことが多いので、どっちが先に悪くなったのかはわかりませんが、坐骨神経の問題は大きな影響を及ぼします。

痛みを改善させるためには?

坐骨神経が原因で膝を伸ばす時に痛いなら、主に以下のポイントをチェックする必要があります。

実際の治療現場では、もっと複雑な要因が絡み合って一つの症状が作られているため、単純にこれだけで全ての方に対応できるわけではありません。

腰椎の固着

坐骨神経が緊張する原因として、特に多いのが腰椎の固着です。

腰椎が固着してしまうと、そこから出ている神経を圧迫してしまいますので、結果として坐骨神経が緊張し、臀部から足にかけての領域で、組織が問題を引き起こします。

問題が起きた組織は膝を伸ばす時の障害になりますので、腰の状態は必ず見ておく必要があります。

特に、坐骨神経は第4腰神経から第3仙骨神経で形成されていますので、腰椎の4番5番、仙骨のバランスなどは重要です。

梨状筋や股関節の問題

腰から出た坐骨神経は、お尻の部分で梨状筋の間を通ります。

この時に、何らかの原因で梨状筋に緊張があったりすると、筋肉が神経を圧迫してしまいますので、坐骨神経を緊張させ、結果として膝に悪影響を出す場合があります。

また、梨状筋に問題が出ているような方は、だいたい骨盤や股関節にも歪みが出ていますので、これらのバランスも合わせてチェックしてあげる必要があります。

坐骨神経上の緊張

多くの場合、神経を圧迫している箇所や、影響を及ぼしている問題を取り除くと、組織の緊張は緩和されていきます。

しかし、長いこと神経が緊張したままになっていた方や、症状の酷い方の場合は、部分部分の神経自体に緊張が残ってしまっているため、膝を伸ばす時に痛みを引き起こす場合があります。

そのような時は、個別に神経自体にアプローチするのですが、神経はとてもデリケートな部分でもありますので、強い刺激は好みません。

軽く触れて、筋肉の防御や神経の緊張を引き起こさないうようにしなければいけませんので、一つ一つ丁寧にアプローチする必要があります。

膝関節の問題

坐骨神経が原因の膝痛でも、やはり膝関節をチェックする事は大切です。

基本的には、神経が正常化すれば痛みも取れてしまうことが多いのですが、膝周りの靭帯や関節包等の問題が残っている場合は、関節が不バランスな状態になっていますので、注意が必要です。

まとめ

膝を伸ばす時に痛みが出る症状は、もしかしたら軟骨の問題よりも、坐骨神経が原因になっているかもしれません。

神経の緊張が脚や下肢後面の筋膜組織などに悪影響を及ぼしますので、膝のスムーズな運動が妨げられ、患部に痛みを引き起こします。

改善させるためには、神経を正常に働かせる必要があるので、腰椎や梨状筋など、神経を圧迫している箇所を解放し、膝に対する影響を取り除いてあげる必要があります。

神経に対するアプローチは個人では難しい部分もありますので、もし症状でお悩みの場合は、一度ご相談頂ければと思います。