肋骨周りの痛みと言えば、肋間神経痛や肋骨の骨折が有名ですが、咳をした時の痛みは何が原因なのでしょうか?
人によっては神経痛を疑って治療院に来られる方も多いのですが、実は臨床的にみて、咳で肋間神経痛が出ることは稀なのです。
だとすればなんでこんなに痛いんだろ?と思っている方もいると思いますので、今回は咳の時の肋骨周りの痛みについて書いていこうと思います。
なぜ咳すると肋骨が痛むの?
咳をした時に肋骨周りが痛むのは、主に骨の問題、関節の問題、筋肉の問題が等が考えられます。
肋骨をどこかにぶつけたりした場合は、まず真っ先に骨折を疑った方が良いので、整形外科等でレントゲンを撮ってもらってください。
ここでは特にぶつけたわけではないのに、咳をしていたら痛くなってしまった方は対象に書いていきたいと思います。
疲労骨折(ヒビ)
私達医療者が「咳をすると肋骨が痛い」と聞いた時に、まず頭を過るのが肋骨の骨折です。
「どこかに打ったならわかるけど、咳なんかで骨が折れるの?」と思っているもいるかもしれませんが、実は咳だけでも骨にヒビが入ったりします。
みなさんも自分が咳をしている時を想像してもらえばわかると思いますが、咳をする時は、ただ息を吐くこととは違い、物凄い勢いで空気を吐き出しています。
それだけ筋肉が収縮していたり、肋骨が動かされている証拠でもあるのですが、この運動により、負担のかかった肋骨にヒビが入ってしまうのです。
肋骨・胸椎の問題
肋骨や胸椎の関節が固くなっていると、咳をする時にうまく肋骨が動いてくれないため、痛みを引き起こす場合があります。
この関節の固さは、日常生活の問題から来ている場合もありますし、咳によって何度も負担がかかった事で生じる場合もあります。
具体的には、背骨にある胸椎椎間関節、胸肋関節、肋横突関節、肋骨頭関節等が問題になるのですが、肋骨の問題は胸椎を治療することで取れてしまう場合がありますので、まずは胸椎椎間関節の柔軟性を取り戻すことが大切です。
筋肉の問題
咳をするときは肋間筋、呼吸補助筋、腹筋なとが関わってくるのですが、その中でも特に外肋間筋や内肋間筋は、肋骨の動きに関わる部分です。
咳による強い力で繰り返し収縮ていると、次第に筋肉にダメージを受けてしまい、固くなってしまう場合があります。
固くなった筋肉は肋骨の運動を妨げますので、咳をした時に、無理な動きを起こしている箇所に、痛みを生じる時があります。
骨折(ヒビ)か肋間神経痛の目安は?
それでは実際に自分の痛みが何によって引き起こされているのか、目安になる方法をご紹介します。
※あくまでも目安ですので、症状を抱えている方はしっかりお医者さんに診断してもらってください。
点で痛むのかある程度の範囲で痛むのか
肋骨にヒビが入っている場合、基本的には骨折箇所に「点」で痛みを感じます。
もしあなたの痛みが肋骨を沿うように走っていたり、ある程度の範囲で感じるなら、肋間神経痛の可能性があります。
これはヒビで痛む範囲が狭いという事と、神経痛は神経の走行上に痛みを出すことから、見分ける時に目安になりやすいポイントです。
背骨を叩いて痛みが出るか
背骨を軽く叩いた時に肋骨に痛みが走るなら、肋骨にヒビが入っている可能性があります。胸椎を叩いた振動が骨を介して肋骨にも伝わるのですが、ヒビが入っていたりすると、骨折箇所が刺激されるため、痛みが走ります。
通常、肋間神経痛では背骨を叩いても痛みは出ません。
※知識としてご紹介しましたが、素人の方がむやみに試すのはお止めください。
肋骨を左右から押してみる
自分の肋骨を左右から挟んで押してみて、肋骨上に点で痛みが出る場合、ヒビが入っている可能性があります。
これも上記と同じて、介達外力によって骨折部に痛みが引き起こされるのですが、肋間神経痛では痛みません。
まとめ
咳をした時に肋骨周りに痛みが出るなら、疲労骨折やヒビによる骨の問題、胸椎や肋骨にある関節の問題、外肋間筋や内肋間筋という筋肉の問題等が考えられます。
人によっては内臓からの関連痛で症状が出ている方もいますが、「咳」という動作で痛みが出る場合は、上記の可能性が高いです。
目安としては、点で痛む場合はヒビの可能性が高く、ある程度の範囲で出る場合は肋間神経痛の可能性があります。
ヒビの場合は整形外科等に行くことをオススメしますが、肋間神経痛の場合は関節に対する治療が必要になりますので、当院にご相談ください。