肩こりがひどい時に知っておきたい14の事

肩こり

肩や首のコリは、症状が軽ければ寝たりストレッチするだけで回復してしまうものなのですが、酷くなると、なかなかその症状は改善されないってご存知でしたでしょうか?

実際、プロの目線から見ても、症状が進行した肩こりは、ただ患部を揉むだけでは良くなりません。

一時的に症状が緩和する事はあっても、すぐに同じ状態に戻ってしまいますので、ちょっと良くなって安心してしまった方は、治りきっていない所に更にコリが重なり、どんどん症状を悪化させてしまう場合があります。

しかし、このように酷くなってしまったコリでも、打つ手がないわけではありません。

しっかりとポイントを抑えれば、体は改善に向かっていきますので、今回は肩のこりが酷くなってしまった時に知っておきたい事をまとめてみました。

ひどい首・肩のこりってどういう状態?

まずは、コリがひどくなって危険信号を出している状態とはどういうものか抑えておきましょう。患者さんからの目線と、治療者側からの目線で解説していこうと思います。

頭痛やしびれを引き起こしている

通常の肩・首コリの症状としては、痛みや張り、重い感じなどが一般的ですが、症状が進行すると、頭痛やしびれを引き起こし始めます。

そこまでいくと、当然筋肉はガチガチで、関節も全然動かない状態になっていますので、次第に神経を圧迫しだし、肩周りだけでなく、関連する所に症状を出してしまいます。

この時に、首の上の方(上部頚椎)の神経が圧迫されたら、後頭部やこめかみのなどに頭を締め付けられるような頭痛を出すのですが、首や背中(上部胸椎)が硬くなっていたら、腕のしびれや痛み(神経痛)が症状として現れます。

患者さんに聞いてみると、多くの方は頭痛が出たら薬を飲んで改善を図るようですが、薬で痛みを抑えても、問題の根本が解決されていないと、しばらくしてまた同じ症状を引き起こしますので、注意が必要です。

筋肉が緩まない

症状が進行し過ぎたコリをお持ちの方は、患部を揉んだり押したりするだけでは、全然筋肉が緩まなくなります。

背中はベニヤ板のように硬くなっていますし、指で押してみるとわかりますが、まったく筋肉が凹まず、むしろ指を跳ね返してくるのが感じられるくらいです。

マッサージ院に頻繁に行っている方などは、たぶん「強くやってください」と言っていないでしょうか?

「強くなければ効かない!」と思っているあなたは、もう負のループに突入し始めている状態ですので、正しい知識を身につけていかなければなりません。

負のループに突入しているって?

負のループに突入している患者さんは、だいたい以下の様な流れをたどります。

コリがあるのでマッサージなどに通う → 次第に押されても感じなくなる → もっと強く押してもらう → 強い刺激に対して身を守ろうと、体が硬くなる → 更に感じなくなる → もっと強く押してもらわないと効かないと思い込み始め、更に強く押して貰う → もっと硬くなる…

関節が動かない

人間の関節は、生理的な範囲での可動性以外に、関節自体に「遊び」というちょっとした動きの幅を持っています。肩や首にコリを持っている方の多くは、この可動性が失われているため、関節が硬く、歪みを引き起こしている場合が多いです。

普通のコリ程度でしたら、適切に治療することで、すぐに関節は動くようになり、歪みが改善される事で症状も落ち着いてくるのですが、中には治療をしても、まったく関節が動かない状態になってしまっている方がいます。

これは、単に「治療法が悪い」という事ではなく、関節の硬さ以外にも、心理的な緊張や他の部位からの影響など、関節を緩める手技を行う前に、取り除かなければいけない要因が多数存在してしまっている状態だと言えます。

ひどくなってしまう原因は?

肩こりは、不良姿勢やデスクワーク、スマホのやり過ぎなどにより、同じ場所に負担がかかった事で、筋肉や関節が硬くなってしまうことが主な原因だと考えられます。ですが、それよりも更にひどくなってしまうのは、どのような要因があるのでしょうか。いくつか解説してみたいと思います。

悪い所が一つではない

悪い所が一つでしたら、基本的にはそこを取り除けば症状は改善されるものなのですが、長いこと肩こりが治らなかったり、症状が複数出ているような方は、いくつかの要因が複合していますので、注意が必要です。

肩こりを重症化させる主な原因としては、「筋肉の問題」「関節の問題」「心理的ストレス」「体内の液体の貯留(疲労の蓄積)」「腰や内蔵など、他部位からの影響」などが挙げられます。

これらが複雑に絡み合い、相互に影響し合う事で症状を作り出すわけですが、頭痛やしびれが出ているような方は、一つ一つの悪い所が重症になっていますので、今までのケアの仕方では、不十分な可能性があります。

治療せずに放置している

「どうせまた凝っちゃうし」とか「自然と治るだろう」と思って適切な治療を受けないと、肩や首のコリはどんどん酷くなってしまう可能性があります。

放置していても、自分の持っている回復力で改善されているうちはまだいいと思いますが、症状が現れてきて回復が追いつかないと、回復力より疲労の方が上回っている状態ですので、注意をしなければなりません。

このような場合、自然と症状が解消される事は少なくなりますので、悪い所がさらに他の部分に悪影響を及ぼし、症状を複雑化させ、治りづらいコリを誕生させます。(一時的に症状が落ち着くことはありますが、原因部分が治っているわけではありません。)

体からのサインを無視する

コリの症状である痛みや張り、重さなどは、体から異常を知らせる一つのサインです。体の中で何か問題が起きているからこそ、体はこういったサインを出すわけですが、多くの方はこのサインを無視してしまっています。

今このブログを読んでいるあなたも、ここまで症状が重くなる前に、きっと体はサインを出しているはずですが、基本的に人間はホントに辛くならないと、なかなか行動には移せません。

「ちょっと張ってるくらいだから我慢しよう」とか、「これくらい寝れば治るだろう」と思ってしまい、症状を甘く見て、自分の治癒力を過信してしまうのですが、サインを無視して頑張ってしまうとどうなるのかは、ここまで読んで来てくださった方なら、なんとなく想像できるはずです。

一時的に楽になっているだけで、根本を治療されていない

ここまで読んでみて、「いやいや、私はちゃんと体の事を気にして治療院に通っています。ですが、それでも症状が改善されないのです」という方もいると思います。

そのような方の場合、もしかしたら自分に適した方法で、施術を受けれていない可能性があります。

あなたが通っている治療院は、患者さんが辛いと言った所を、ただマッサージするだけような治療院ではないでしょうか?また、毎回同じようなルーティーン化された施術をする所ではないでしょうか?

上記に該当する方は、それが自分の体に合っていない場合、一時的には体が楽になる事はあっても、症状が改善されるのは難しいといえます。(ただし、その治療がピッタリハマれば改善もあります)

「悪い所が一つではない」でも解説しましたが、肩こりの原因は多岐にわたりますので、原因に合わせて、アプローチの方法も変えなければいけません。

食事で例えれば、パスタを食べる時はフォークが必要ですし、分厚いステーキを食べる時はナイフが必要です。それを全部箸だけで食べようとしたらどうなるのか、なんとなく想像できるのではないでしょうか。

料理ならまだ何とか食べられますが、治療では、適切な方法を選ばないと、体自体が全く反応してくれない場合も多々あります。

一つの手技だけで全てを治療することは不可能ですので、原因を見極める正確な検査と、検査に伴う適切なアプローチをすることが、症状改善に向かう第一歩と言えます。

また、私個人としては、ただ辛い所を強く押すだけの施術は、体を悪くするだけなので、あまりオススメは出来ません。

強いマッサージを長く続けていると、筋肉は次第に硬くなってしまい、症状を改善させるのがさらに難しくなってしまいますので、注意してください。

症状を改善させるためにはどうすればいいの?

では、症状を改善させるためにはどうすればいいのでしょうか。
いくつかポイントを紹介していきたいと思います。

放置せず、体のサインに従う

まずやらなければいけない事は、体のサインを無視して、これ以上放置して症状を悪化させないことです。

酷くなってから治療院に駆け込んで来る方の多くは、基本的にどうしょもない状態になってから訪れますので、そのような状態では、当然体は治りづらくなってしまいますし、治療も難しくなります。

今このブログを読んでいるということは、すでにこの状態からは脱しつつあると思いますので、引き続き体のサインは大切にしてみてください。

治療院でしっかりとした施術を受ける

治療院は、大きく分けて2つに分類されます。

一つは、痛い所、気になる所を揉んだりして、患者さんに心地よくなってもらい、症状を軽くすること目的とする所。

もう一つは、症状が出ている原因はどこから来ているのか分析し、根本的な原因となっている部分に対して必要な治療をし、改善を目指す所。

中にはこの中間のような所もあるかもしれませんが、基本的には前者は慰安目的で、後者は治療目的の治療院だと思います。

今回のように、つらい症状を抱えている方は、後者のような治療目的で施術を行っている治療院を選ぶ必要がありますので、治すことを考えるなら「クイックマッサージでも行こう」という選択はあまりオススメ出来ません。

そもそもこれらは目的が違いますので、もし癒やされたいとか、ちょっと楽になればいいやと思っている場合に、利用してあげるとよいと思います。

自分でも体のケアをしよう

症状を改善させるためには、患者さん自身も自分の状態について知り、改善のために努力をする必要があります。

方法はこまめにストレッチをすることでもいいですし、お風呂にゆっくり浸かって心身をリラックスさせることでもいいと思いますが、ただし、不良姿勢を改善する事や、負担のかかるような動作を避ける事は必須と言えます。

なぜこのような事を言うかというと、患者さんの中には、全てを治療者側に任せてしまい、自分で改善する努力をしない方がいるからです。

そのような方の場合、そのまま治ってしまえばそれでいいのですが、状態が悪く、不摂生や不良姿勢による問題が大きい方だと、せっかく治療して体を良くしても、悪い生活習慣で施術の効果を相殺させてしまう恐れがありますので、注意をしなけれなりません。

「そんな事言っても忙しいので無理だよ」という方もいるかもしれませんが、治療者がアプローチ出来るのは1日のうちのわずかな時間だけですので、それ以外の時間は自分で責任持ってコントロールしなければいけませんし、本気でその症状を治したいのであれば、やはり体のケアに時間を割くのは大切です。

これは、どんなに腕の良い治療者が関わっても共通のことだと思いますし、知識、技術、治療経験が豊富な方ほど、治療者側の能力だけでは治らない人がいることを、嫌というほど知っているはずです。

実際自分の体に責任を持って治していくのは患者さん自身ですので、体のためにも、自分をケアする時間を作ってみてください。

症状がなくなっても油断しない

症状がなくなれば、一見「治った」と思うかもしれませんが、まだ油断してはいけません。

症状は単なる問題の枝葉に過ぎませんので、症状が消えても、根本にある原因(木)が改善されていなければ、再び同じような問題を引き起こす可能性があります。

そうならない為に、治療者側は再度の来院が必要である事を伝えたり、日常生活で注意する事を教えたりするのですが、ほとんど方は安心してしまい、これらを重要とは考えず、油断してしまいます。

油断しても、そこまで症状が悪化しなければいいのですが、ここまで体を酷くしてきた方の場合は、基本的にケアの意識は低めだと言えますので、次に症状として出てくる時は、更に悪い状況になっている可能性もあります。

これはぎっくり腰とか寝ちがえを治療していると多いのですが、1、2回治療して痛みがなくなると、患者さんとしては「もう大丈夫だ」と思ってしまうので、勝手に自己判断をしてしまい、治療を終了してしまう場合があります。

それでそのまま良くなればいいのですが、治りきっていない所に無理をすれば、当然また体は悪くなりますので、数日して「また痛くなってしまった」という状況に陥ってしまうのです。

再発させないポイントは?

たまに患者さんから、「再発しないような体にして欲しい」と言われる事があるのですが、残念ながらこれはサイボーグにでもしない限り無理ですので、負担がかかれば当然体は悪くなります。

しかし、再発する確率を下げたり、再発しても軽い状態で済むような状態にはできますので、そこには治療によるアプローチと患者さん自身の努力が必要になります。

症状が酷くなる背景には、基本的に「自分の回復力 < 日常生活の疲労」という等式が成り立っています。

この等式を、逆の「自分の回復力 > 日常生活の疲労」にするためには、生活習慣を改善するしかありませんので、その中でも特に大事なポイントである「姿勢」と「体のケア」「体のサインに気づく」事について、解説していこうと思います。

不良姿勢を改善しよう

まずは姿勢からですが、パソコン作業やデスクワークが多い方は、画面に顔を近づけていたり、猫背になっていたりしないでしょうか?また、同じ姿勢でずっと作業をしていないでしょうか?

不良姿勢と言えば「猫背」が浮かんで来ますが、ここでは例え背筋が伸びていても、長時間の同一姿勢は、不良姿勢として捉えています。

もし、あなたが上記のような状態で仕事をしているなら、すぐに状態を改善しなければなりません。

具体的にやることとしては、まずは自分が不良姿勢を取っている事に気づくことが大切です。

これらは、癖になってしまっているので最初はなかなか治せません。ですが、第一段階として、自分が不良姿勢を取ってしまっている事に気づく事ができれば、後はあなたがそのまま悪い姿勢を続けるか、姿勢を正すかを選ぶことができます。

また、例え良い姿勢を取っていても、長時間同じ姿勢を取っていれば、体には負担となりますので、仕事に集中していても、こまめに伸びをしてみたり、席を立つなど、体の状態を変えなければいけません。

体のケアをしよう

次に体のケアについてですが、これは体に合っているものであれば、どんな方法でも良いと思います。ストレッチやヨガ、ピラティスなど、方法はいっぱいありますが、私個人としては、ゆっくりとした、全身のストレッチをオススメしています。

決して他の方法が悪いわけではありませんが、普段まったく運動をしない方がいきなり始めると、強度が強すぎる場合がありますので、まずはゆっくりと、心地よい範囲でストレッチをしてみてください。

日頃からこまめにケアをしていれば、「自分の回復力 < 日常生活の疲労」状態に陥ることは少ないと思いますので、疲労を溜めず、自分の回復力を過信せず、続けてみてください。

体のサインをしっかり受け取ろう

姿勢を気をつけていたり、体のケアをしていても、肩が凝ってしまう時は凝ってしまうものですが、初期の段階で体の異変に気づければ、症状は酷くならずに済みます。

「ちょっと張ってるかも」とか、「少し違和感がある」というレベルが初期のサインですので、もしこれらを感じ始めたら、体に問題が起き始めていると認識してください。

コリの場合は、ここに目の疲れや、画面が疲労で見えづらいなどの症状も、初期のサインとして認識しても良いと思います。(肩首のコリは、目からの影響も強く受ける)

ここまで読んで来てくださった皆様は、体のサインが大切な事は、もう知っていると思いますので、自分の体のために、早めのケアを心がけてみてください。

まとめ

肩や首のコリは、放置して重症化すると、頭痛やしびれを引き起こしたり、少し治療したくらいでは改善されないような、ひどい状態を引き起こします。

そうなってしまう方の多くは、問題(原因)がいくつもあったり、体からのサインを無視し続けていたことが要因となっていますので、症状が複雑化してしまい、簡単には改善されません。

これらを改善するためには、しっかりと症状の改善を目的にしている治療院に通うことと、自分でも体に対する考え方を変え、ケアをする必要がありますので、ぜひ自分の体のために、時間を作ってみてください。

「このままでもいいや」と思ってしまったら、後はどんどん酷くなるだけですので、そうならないために、ここまで読んできていただいた事を、参考にして頂けたら幸いです。